薬剤師の求人の現状と共に時代背景が及ぼす転職事情について
薬剤師の資格を取る為には大学の薬学部を卒業しないといけませんが、最近これが4年制から6年制に変わりました。その関係で2年間空白期間がありました。その期間は新しい薬剤師が誕生しなかったということになります。元々この職種は人が足りない状態だった上に空白期間があったので、まったく人手が足りなくなり困っている病院が増えた様です。また最近の傾向としてはドラッグストアのが急増しています。ドラッグストアにも処方箋の窓口を設置し薬剤師が常駐しているところも増えているので、薬剤師の資格を有する人材が必要になりました。これもこの職種の人手不足の原因になっていると思います。結果として現在はこの職種の人の求人は大変多いです。ネットで調べてもこの職種だけの専用の募集サイトが沢山存在しています。それだけ募集が多いことの証明になります。
最近薬学部を置く大学が急激に増えました。したがってもう10年程度すると今度は今とは逆にこの職種の人が余ってくる可能性が言われています。ということは必然的に近い将来、薬剤師求人が減る可能性はあると思います。しかし当面は人手不足が続きそうです。
これらのことを考えるとこの人手が不足している時にしっかり就職先を見つけて、いづれ来るはずである薬剤師が余る時期に備えておくのがいいのではないかと思います。この職種の人が余る時代が来ると今度は仕事を見つけるのが大変になると思うのです。その時しっかりしたところに就職していればその時代を乗り切ることができると思います。
診療報酬の改定で薬局運営と薬剤師の求人情報の関係について
このたび、診療報酬の改定がありました。そのため、薬局運営も改定を受けて取り組まなければならないことがあります。それは、かかりつけ機能の強化、地域支援体制加算や後発医薬品調剤体制加算の取得、在宅医療や面受機能強化の推進です。かかりつけ業務や在宅医療といった対人業務（薬を飲んだ後のフォローまで）に積極的に取り組んでいる薬局は、改定前よりも収益が上がることが考えられます。その一方で門前薬局は対物業務（薬を渡すまでの業務）なのでかかりつけ機能の評価などが受けられず、減収減益となる恐れがあります。こういったことを考えながら薬局運営を見直していく必要があるでしょう。
では、薬剤師の求人についてはどうでしょう。診療報酬の改定は、求人情報にも関係してきます。かかりつけ機能を強化したり、在宅医療を推進するのであれば、24時間対応や在宅医療に対応できる薬剤師の求人が増えます。以前は、薬剤師の資格があればどこも良い条件で採用されるのが当たり前のようになっていましたが、現在は薬剤師の資格さえあれば良いとか、定時退社で土日祝日は休み、といった条件の求人情報は減ってきています。患者さんからの問い合わせ等に24時間対応できるよう、夕方からの勤務ができる人や、休日でも勤務できる薬剤師の求人が増えつつあります。「今までのキャリアを活かして在宅医療に取り組みたい」とか「認知症に強い」「がんに詳しい」といった薬剤師は転職も成功しやすいと言えるでしょう。
自己分析し薬剤師の資格を活かして転職しよう
薬剤師の資格を生かして転職する際、自分の経験や能力を生かせる職場に応募したいところです。そのために重要なことは、薬剤師としての自己分析を進めることです。自己分析はそれほど難しいものではありません。3つのステップで進めていきましょう。
自分にはどんな経験があって、どんなスキルがあるか見直しましょう。今までのキャリアを振り返ることで、自分の強みがないか見えてくるでしょう。あなたの強みは転職活動するにあたってのセールスポイントになります。このセールスポイントを積極的にアピールすることで、転職できる確率も高まります。
転職したいと思ったのは、何かしら理由があるはずです。なぜ転職をしたいのか、理由を書き出してみましょう。その中で妥協できるものと、どうしても譲れないものや現職では満たせないものに分類します。転職先を見つける際には、後者を優先して探してみると希望の職場を自然と絞り込めます。
今後自分はどうなりたいのか、キャリアプランをイメージしてみることです。将来自分がどうなりたいのかを検討すると、今までの職種でいいのかというのも見えてきます。調剤薬局やドラッグストア以外にも薬剤師は病院や企業など、いろいろな就職先があります。キャリアプランによっては、職場を見直すことも必要になってくるかもしれません。この3つのステップによって、自分の能力を生かせる転職先が明確になります。
今後の薬剤師求人倍率を予想！
薬剤師の求人倍率をみてみると、令和2年10月の段階で3.55倍です。薬剤師の求人倍率ですが、実は近年下降気味です。というのも平成18年度が7.28倍、平成25年度には10.05倍、令和2年1月で4.76倍あったからです。これらの数字と比較すると令和2年10月の求人倍率は低くなっていると感じるでしょう。しかしほかの業種と比較して、薬剤師の倍率は非常に高いです。少子高齢化で慢性的な人材不足の状態に陥っている介護業界でも、求人倍率は3倍程度です。薬剤師1人当たり3.5社程度の応募先があるわけで、より自分の希望する職場も見つかりやすいでしょう。
薬剤師の求人動向を見てみると、就職先で事情はだいぶ変わってくるようです。ドラッグストアや薬局は大幅に増加する可能性が高いです。例えば薬局における薬剤師の在籍数を見てみると、平成12年の段階で10万人ほどでした。それが平成30年になると18万人を超えてきています。8万人ほど薬局で専従する薬剤師の数が増加しているわけです。平成に入ってから順調に右肩上がりの状態で増えてきています。この傾向はしばらくは堅持するのではないかとみられています。高齢化が日本ではますます進み、医薬品を求める人も増加すると予想されているからです。
一方、製薬会社をはじめとした一般企業はなかなか採用されないかもしれません。新卒の応募があると100倍近くの倍率に達することも珍しくないようです。企業薬剤師になる場合には、長期戦も視野に入れたほうがいいでしょう。
薬剤師不足って本当？深刻なエリアとは？
薬剤師不足が深刻なエリアを見ると、都心部よりも地方のほうが色濃く出ているようです。平成30年度のデータによると、薬剤師が少ないのは都道府県別でみていくと鳥取県や島根県、福井県、高知県、山梨県といった感じでいずれも地方に該当する地域です。またこちらは平成28年のデータですが、人口10万人に対する薬剤師数で最も少なかったのは沖縄県でした。次いで青森県や福井県といった感じで、こちらもやはり地方のほうが薬剤師不足の状況が顕著であることがうかがえます。
一方で、都心部は薬剤師が集中する傾向が見られます。都市部の場合、人口が多いので生活インフラがしっかり整備されています。薬局やドラッグストアの数も多いですが、人口も十分で薬剤師も多く暮らしています。都市部で転職する際には、なかなかめぼしい案件が見つからないかもしれません。
逆に地方の場合、薬剤師が不足しているので好待遇の案件がしばしば出ています。しかも都心部と比較すると、地方のほうが物価も安いといわれています。生活にもゆとりの生まれる可能性も高いので、引っ越してもいいと思っているのなら都心部から地方の求人に目を向けてみましょう。