薬剤師の採用の現状について着目しました
世間ではだんだんと一般求人でも人材確保が難しくなってきており、ハローワークでの求職者は昨年と比べ減少してきています。利用者の人数を見ても顕著にわかるぐらい、昨年の様な混雑さは無くなっています。また特徴的な変化として、非正規社員の求人が減少し、正規社員の求人が増加してきています。これは政府の後押しもあり、企業の業績が上向きになり人材確保が急務になってきたためです。企業と求職者との力関係に変化が生じ、求職者は長期雇用の正規雇用での求人にしか目を向けなくなってきたのです。そういう中で、求人確保が難しいとされている薬剤師は更にハードルが高くなってきています。
先ず通常の採用活動では、薬剤師の確保は達成できないため、大学の就職課や教授との関係を強化するしかないようです。求人内容が余程好条件であれば別ですが、提示できる条件もほとんど世間相場となると最終決め手は、薬科大学との関係が必要です。
例に挙げると、6年制の薬科大学を卒業し就職する際、就職先の決め手は教授の推薦があったためだと言います。毎年定期的に卒業生が就職する企業だと、企業の情報を入手することができ、学生にも実情を伝えやすく安心して就職ができるからです。大学の先輩が既に就職して勤務しているため、何かと職場での就業環境は良いと期待できます。大学との関係が強いと、企業に対して学生の意思をしっかり伝えることができ、就職しても薬剤に関する研究や能力の向上を図れるため、それを期待して就職を決意するようです。採用する企業は、給与を高くするだけでなく、人材の教育制度にも力を入れアピールしていかなければ、絶対に薬剤師の求人では良い結果につながらないようです。というのが新卒の採用の現状ですので、実際に再就職先、転職先を探すには転職サイトを活用する薬剤師が増えているようです。
薬剤師の転職サイトは人材確保する採用側でも有効に活用しています
薬剤師で転職を考えている人の情報収集手段ですが、以前は折り込みチラシの求人広告やハローワーク、知人からの紹介などが主でした。しかし最近ではパソコンやスマートフォンが普及しているため、転職サイトを利用する人が増えてきています。
転職サイトの利用は簡単で、自分の情報を入力して登録するだけです。費用がかかることもありませんので、気軽に登録できます。登録すると非公開求人や独占求人の情報も知ることができ、自分が希望する職場の求人に出会えるかもしれません。また、登録することで転職コンサルタントが間に入り、気になる案件を紹介してくれるようになります。
薬剤師専門の転職サイトにいるコンサルタントは、実際に求人を出してくる企業や病院、薬局などと直接やりとりしていることがあり、情報収集能力に長けています。薬剤師業界に精通している人も多く、職場の雰囲気や待遇などについても教えてもらえることがあります。ハローワークでも薬剤師の求人が出ていることがありますが、ハローワークの職員は薬剤師の仕事など専門的な細かいことは知識が無いので、詳しいことが聞きたくても聞けないことがほとんどです。その点、専門の転職サイトであればいろんな情報収集ができ、より詳しく転職先のことを知ることができます。登録も簡単で、無料ですから大いに利用する価値はあります。コンサルタントと関わらず、情報収集だけしたいという人でも利用は可能です。条件を絞り込んで検索することもできますので、欲しい情報が手に入りやすいです。
薬剤師を採用したい企業側の思惑について
薬剤師の求人は調剤薬局やドラッグストアに限りません。企業でも募集する傾向が見られます。特に製薬会社や医療機器メーカーなどで薬剤師資格を持った人の求人が時折出ています。採用側として見れば、薬剤師の持つ医薬品に関する専門知識を活かしたいと思っているからです。
企業の募集を見てみると、臨床開発モニターや治験コーディネーター、医療業界の営業マンといわれるMRなどです。またDI室といって医薬品情報を取り扱う部署でも募集の出ることもあります。いずれにしても自社で取り扱っている医薬品やこれから開発する新薬に関する説明が必要です。薬剤師のような専門家が医薬品に関する情報を提供すれば、先方も納得しやすいでしょう。また先方が医薬品に関する詳しい説明を求めることもあるでしょう。この時、専門知識を持った薬剤師が説明に赴けば、どのような角度からの質問でも答えてくれるだろうと思うはずです。
またDI室の場合、顧客から自社商品に関する問い合わせがきます。薬剤師であれば、医薬品に関する幅広い知識を持っています。ですから採用側としても、どんな質問でも相手が納得してくれるだろうと期待できます。
医薬品に関する需要ですが、景気の波に左右されないのもほかの職種にはなかなか見られない特徴です。景気が悪化していても体調の悪い人が減少するわけではないからです。何らかの疾患を抱えている人は医薬品が必要で、景気の波に左右されないのもこのためです。ですから景気の良し悪しに関係なく、薬剤師の募集は活発に出る傾向が見られます。
企業はこんな薬剤師を人材確保したい!
平成18年から薬学でも6年生の教育がスタートしました。薬剤師の人材育成を目標にしているのですが、新卒の就職状況はどうでしょうか?令和2年の新卒の進路状況についてみていくと、男性80.4%・女性84.2%ということで大半の学生が何らかの形で就職していることがうかがえます。ちなみに研究生が0.1%・進学1.6%ということで、薬学をより極めるために研究者の道を志望する人も少なからず見られます。
薬剤師の就職先として主だったものとして、調剤薬局やドラッグストアが考えられます。調剤薬局やドラッグストアでも薬剤師の人材確保のために求人情報が日々出ています。調剤薬局やドラッグストアの場合、求められる人物像としてコミュニケーションが円滑な人というのが挙げられます。患者さんやお客さんと話をして、どんな薬を求めているか、どのような薬か説明する能力は必須だからです。その意味では社交的で、初対面の人とも気さくに話のできる人のほうが好ましいです。
MRの募集もしばしば出ています。MRとはその企業が販売している医薬品に関する情報を病院など現場にあげる仕事のことです。製薬企業の営業マンという呼ばれ方をされることもあります。MRとして働くためには、薬学の知識が必須です。医療スタッフからの問い合わせに対応する形になるので、専門的な知識が必要になるからです。このため、薬学に関する専門家である薬剤師資格を持っている人のほうが好ましいわけです。専門性が求められるので給料もいい案件が少なくありません。
薬剤師の離職理由から考える転職事情とは?
薬剤師の転職市場ですが、いつでも活発だといわれています。なぜ薬剤師は転職をする人が多いか、それは性別が関係しているようです。2018年の薬剤師調査の結果を見てみると、女性が全体の61.2%を占めています。こうしてみても、女性の薬剤師のほうが圧倒的に多いことがわかります。
女性の割合が多いのと退職率や離職率が高いのは、女性の場合はライフステージによって生活環境の大きく変わることが関係しています。まず女性にとって大きなイベントとして、妊娠・出産があります。出産をすると育児に手がかかるので、どうしてもある程度子供が成長するまで退職や休職をせざるを得ません。そして子育てがひと段落したところで、再就職を目指す人も少なくありません。そのほかにも、最近では両親の介護で離職する人も少なくありません。このように離職する薬剤師が一定数いるので、慢性的に人材不足の状態に陥っている薬局やドラッグストアも少なくありません。このため、日本各地で頻繁に薬剤師の募集が出るわけです。
薬剤師の場合、資格を持っていれば一生ものです。たとえ子育てなどでしばらく現場を離れていても、また復職できる可能性は高いです。また薬剤師の仕事は日本全国どこでも一緒です。例えば既婚者で配偶者の転勤に伴って引越しした場合でも、新天地で就職できる可能性は十分あります。医療は都市部・地方関係なく必要とされるサービスです。このため、日本各地で募集が出ているので就職先を見つけるのに苦労することもまずないでしょう。